2013/05/24

海外公演のためのビザ情報 (イタリア篇)

海外公演のために制作(ツアーマネージャー)がやらなくてはならないことは色々あるけれども、
とっても大切なのに意外に情報共有されてないなぁと思うのが、ビザ(or滞在許可証)情報。

今回、イタリア渡航に関しては結構いろいろ面倒くさくって、
しかも日本語で調べても全然ウェブで出てこない。英語で検索しても出てこない。
これは本当に困りました…。

なので、これからツアーに行った国のビザのことは、必ずこのブログに残しておこうと思います。
今後誰かが海外公演を行う際に、検索してここを見つけて活用してもらえたらうれしいですが、
制度は定期的に変わっていくものなので、必ずしも今回のことが今後も100%そのままではないかもしれません。そのところだけあしからず!

まず、ビザについてですが、バックパッカーで海外放浪していた私が断言しますが、日本のパスポートは本当に強い。世界最強だと思います。
2013年1月時点で、日本のパスポートを所持した日本国民は186(内、ビザ免除は153)の国と地域にビザなしもしくは到着時のビザ取得(アライバルビザ)で入国することが可能なのです。(ウィキペディアより)

もちろん、イタリアもこの中に含まれています。
イタリアの場合、6カ月間で90日以内の観光目的であれば、日本のパスポートを持った人はビザが不要です。パスポートさえあればいいのです。

しかし海外公演となれば、そこで上演料が発生するわけなので、「労働」をするための許可が必要になります。

これが、国によって、また同じ国でもタイミングによって、いろいろ違ってくるんです…。

というわけで、今回はイタリア篇を。

海外公演のためのビザ情報 (イタリア篇)

まず、ビザ情報を調べるにはその国の大使館のウェブサイトを見るのが一番です。

ビザ情報のページに、自分の国籍や滞在期間、目的を選んでビザが必要かどうかを調べるページがあるのですが、これで私の混乱が始まりました…。


あれ、該当する「渡航目的」がない…。

ちなみに海外のカンパニーが日本で公演を行う場合は、日本の「興行ビザ(Entertainer)」を取得することになります。

「興行」とか「芸術」とか「公演」とか、だいたいどこの国でもこのワードで引っかかってくるはずなのに、「渡航目的」にないってことはビザが不要ってことなのだろうか…。

でもその国で対価をもらう以上は、絶対に何かしら申請はしなくてはいけないはず…ザワザワ。

で、これを調べても出てこなくって、過去にイタリアで公演を行っていたチェルフィッチュのご担当者の黄木さんと、青年団の海外担当の西山さんにそれぞれのケースも伺いました。

そしてフェスティバル側との何度ものやりとりを経て、2013年5月時点での最新情報が判明したのでまとめます。(もし労働許可関連の情報に詳しい人がいて、突っこみがあったらご指摘よろしくお願いいたします!)

・ 日本のパスポート所持者は、90日以内であればビザは不要。
・ 公演のために上演料(つまりギャラ)が発生するのであれば、イタリア労働局から「労働許可」を得る必要がある。
・ 労働許可の申請には、下記の書類が必要である

(劇団が法人格を持っている、あるいは法人格のある制作事務所が間に入っている場合)
 1. その団体が社会保険料を日本で納付している証明書
 2. 渡航メンバーが団体によって常勤雇用されている証明書
  3. パスポートのコピー
  4. 日本の住所、電話番号等の個人情報

もし法人格がない場合は、渡航メンバー個人での申請となるので、
「渡航メンバーが団体によって常勤雇用されている証明書」は不要になりますが、個人で社会保険料(国民年金or厚生年金)を支払っている証明書が必要になります。

その他、フェスティバルとの契約書を含め、招聘団体側が用意する資料もいろいろあるようです。

厳密に言えば、社会保険料の証明書はなくても大丈夫です。
これは給与の支払いの際に、イタリア側と日本側で社会保険料の二重課税を防ぐことが目的なので、もし日本側で支払っていないなどで、証明書自体を取り寄せるのが難しい場合は、日本よりもはるかに税率の高いイタリア側の税率が適応され、イタリア側で社会保険料をギャラから引かれるということになります。
ちなみに、イタリアは給料の約35%が社会保険料で引かれますよ…ヒィィィィ

この「労働許可証」は申請自体は招聘者側で行うので、特に日本側では行うべきことは書類の調達くらいになります。

フランスで公演を行う可能性もあったので、フランスに関しても調べていたのですがフランスもイタリアと似ているようですね…。

【教訓】イタリアで公演を行う際は、日本で国民年金を納めてるかどうかが受け取るギャラの額に関係してくるということをよく覚えておこう!