2013/10/29

日韓共同製作プロジェクト『つれなくも秋の風』無事に終了いたしました。

フェスティバル・ボム(Festival Bo:m)×十六夜吉田町スタジオ×急な坂スタジオ 日韓共同製作プロジェクト『つれなくも秋の風』無事に終了いたしました。
ご来場いただいた皆様、まことにありがとうございました。

公演中は受付嬢でしたが、観客セットを装着して幻のウサギと記念撮影。

8日間の公演日程のうち2日が荒天による中止となってしまい、ご予約いただいたにも関わらず体験できなかった皆様、本当に残念でした…。


また後半口コミによる問い合わせをかなりいただいたのに、1日20組程度しか受けられない公演形式のためにすでに満席で予約を全然お取りできずにこれまた残念でした…。

せっかくクリエーションに最初から立ち合えるので、本当は稽古場レポートを書きたいなぁと当初は思っていたのです。しかし、どの写真をアップしても、また、どうやって今日の稽古のことを書こうとしても、即「ネタバレ」につながってしまうため、これまで稽古のことは全然書けずにいました。

もう公演が終わったので、思う存分書きたいと思います!
(といっても内容的なことは書きませんが。)

オーディションを経て選ばれた13名の出演者のみなさんとのクリエーションが始まったのは7月から。
ソ・ヒョンソクさんの作品が日本で上演されるのは今回が初めて。なので当たり前ですが、ソさんの作品を体験したことがある方はこの中に一人もいません。
韓国で過去にソさんのツアーパフォーマンスを2作品観客として体験している私の役割は「演出助手」として、この出演者の方々に観客側の目線を伝えていくことでした。

毎週末に集まって部分ごとに稽古を開始。
稽古ではみんなで感想や質問、改善点を出し合うディスカッションの時間をたっぷり設け、その内容を基にまた少しづつ変更を加えていきます。
最初に決めたルートが工事で使えないことになり、別のルートに切り替えたりしながら徐々に全体が見え始めたのが8月末ごろ。
稽古の様子。

9月にはアナウンスの録音もひとりひとり行い、迎えた10月。

10月からはアテンドスタッフが稽古に参加します。
実は今回の作品、「観客と俳優がペアを組み、1組ごとに急な坂スタジオ周辺を巡るツアー形式」と告知されていますがもう一人影の同行者がいるのです。
それがアテンドスタッフのみなさん。

今回の作品は急な坂スタジオがもともと結婚式場だったということで「結婚」がテーマになっていますが、俳優と観客が「新郎新婦」だとするとアテンドスタッフは「介添え人」。
常に観客からは見えない場所で、二人の歩く道に障害があれば取り除き、二人が順調に進めるよう、ありとあらゆるサポートを行っているのです。

こそっと観客の後ろに待機しているアテンドスタッフ

アテンドスタッフのみなさんも加わっての稽古が始まり、オフ日も自主稽古したりして本番に向けてどんどんみんなが集中していくのが分かりました。

雨の日の稽古
どう見ても「葬儀で親戚一同が集まった図」にしか見えないけど稽古

そして公演初日の2日前。
初めて最初から最後までルートを通して、10分おきに各組が出発する、本番を想定したシュミレーションを行ったところ、いろいろな問題が発生。
各所で渋滞が起こり、そもそも10分おきに出発できない…そして公演時間は70分を想定していたのに、平均で85分、長い組では95分もかかってしまったのです。
「歩くのしんどい」「メガネが痛い」…参加してくださった観客役のみなさんのご意見が胸に突き刺さります…。そうですよね…。

俳優、アテンドスタッフの皆さんが帰った後に、演出チーム、急な坂チームで急遽ミーティング。
そして時間をかけてルート、順序をひとつひとつ見直す大改革を行い「これで15分、すくなくとも10分は削れたはず!」とそこにいた誰もが確信しました…。

そして公演前日。関係者を招いたプレビュー公演。
その結果!!!
平均で85分、長い組では95分。昨日と全く変わっていない、むしろ組によっては伸びてる!!
そしてやっぱりルートで渋滞が起きて10分おきに出発できない!!!
なんでや…
なんでや…
……絶望……

その夜、演出チームでストップウォッチを片手に各シーンにかかる時間を測定。
この組がここにいて4分滞在する間に、次の組はここにいて…と頭が爆発しそうな計算をしながら再度ルートと滞在時間の見直し。
これできっと今度こそ行けるはず…。

変更点は当日の朝まで発生し続けましたが、大きな変更にも関わらず、俳優とアテンドスタッフのみなさんが柔軟に対応してくれたのが本当にありがたかったです。

そして再度の大きな変更を経て迎えた公演初日。
私は公演期間中は受付で観客のみなさまに観客セットを装着していただき、出発時間をタイムキープする係。
10分毎の出発で計算上はいけるはずだけど、実際にいけるかどうかかなり緊張。

受付に置かれた「観客セット」

実際に数組出発した時点では渋滞も発生せず「やっぱりこれでいける!」と思った時は本当に安心しました。

このホワイトボードを見て全員が動く、この公演の要。

公演の前半に英語でのレビューも出ました。

劇場での公演だって毎日違うのは当たり前ですが、それ以上にツアーパフォーマンスはいろんな条件が違っていて、どれひとつとして同じ体験はありません。
毎日の一期一会の出会いをこれほどに意識しながら日々を過ごしたことは初めてだったと思います。

そしてまさに「大家族」のように全員で協力しながらこの作品を上演できたこと、俳優・スタッフ一丸となり千秋楽まで駆け抜けられたことが何よりも私にとっては嬉しかったです。毎日楽しかった~。
ギスギスした現場ほどつらいものはないですよ!!
写真に写ってない方々もいますが、今回力を貸してくださったみなさま、本当にありがとうございました!



さて、ソ・ヒョンソクさんの日本初紹介となる『つれなくも秋の風』はこうして幕を閉じた訳ですが、またどこかの都市でクリエーションできたらいいなぁなんて思っています。
上演する都市で、その場所に合わせ、またまったく違う作品になるでしょう。
あ、でも今度は屋根がある場所がいいなぁ…(ひとりごと)