2012/09/26

KAMS:2013年センターステージ・コリア公募

韓国にはKAMS (Korean Arts Management Service)という組織があります。
KAMSは韓国文化体育観光部の下にある舞台芸術を中心とした芸術経営支援センターで、
アートマネージメントに関わる組織・個人のための研究·調査、コンサルティング、アカデミー、知識や情報の提供を通じて、芸術の産業機能を強化することを目的としています。

舞台芸術の国際交流のポータルサイト「theApro」の運営や
毎年秋に開催されるソウル舞台芸術見本市(PAMS)もこのKAMSが行っています。

さて、このKAMSが毎年秋に公募している「センターステージ・コリア」という事業があります。
韓国の作品を自国に招聘したい海外の企画者むけの公募です。
採択されれば公演団体の海外航空券と貨物運送料の全額または一部がサポートされますよ。

今年の締め切りは11月30日まで。
いくつかの条件はありますが、もし呼びたい韓国の作品がある企画者の方は一度ご検討されてみてはいかがでしょうか?

2012/09/25

文化駅ソウル284 "Life A User's Manual"

今年1月のエントリー(文化駅ソウル284 / ソ・ヒョンソク『ヘテロクロニー』)で、
旧ソウル駅の使われなくなった駅舎が修復工事され、
「文化駅ソウル284」というアートスペースとして復活したよ、ということを書きましたが
今日はそこで9月13日から始まった展示
「인생사용법 (Life A User's Manual)」を見てきました。



あ、ちなみに東京駅の東京ステーションギャラリーも復原工事が終わって
10月から「始発電車を待ちながら」という現代美術の展示をするみたいですね!
9人の作家が「鉄道」という視点から発想された作品を出品するとのことなので、
私もぜひ行ってみたいです。
(特に、クワクボリョウタさんの『10 番目の感傷(点・線・面)』を東京駅で見たい!)


話がそれましたが…ソウルに戻って。
この展示のタイトル「인생사용법」を日本語にすると「人生の使用法」。
「明日をデザイン」するシンクタンクとして、
生活と最も密接なもののデザインを中心に、
「芸術がどのように日常を創造するか」を模索する展示です。

コンセプトは
「文化駅ソウル284の場所の特定性を反映し、私たちの人生全般の固定観念と一般の商品デザインのプロセスを脱離し、未来のライフスタイルに対する実験的で創意的な提案をしよう」
ということらしいです。

なので、美術だけではなく建築、デザインの分野から36チーム(68人)の作家が参加し
70点の作品が展示されています。

空き缶を拾いながら生計を立てているホームレスを追った映像作品、
独特な形をした音響スピーカー、
理想を追求したデザイナーのための作業机、
IKEAで買った家具を並べて作った作品、
誰かの悩みが書かれた紙に観客がアドバイスを書き込んであげる作品など
さまざまな視点からの「生活」への提案があり
またそれが展示されている旧ソウル駅の空間自体も味があるので
なかなか面白い展示でした。

今回の展示、芸術監督はソウル科学技術大学・造形芸術学科教授のキム・ソンウォン(김성원)(この方、Festival Bo:mの前身のSpring Waveというフェスティバルでキム・ソンヒと一緒にディレクターを務めた方です。詳しくはこちら。)が務め、キム・ソンウォンを含め4人のキュレーターが各コンセプトの元作家を選んでいます。

「デザイナーの生活のためのデザイン」
キュレーター:キム・ソンウォン(김성원)

「偶然の共同体」
キュレーター:ホン・ボラ(홍보라)

「眼下の空間、背後の人生」
キュレーター:ジョン・ソイク(정소익)

「ある人生のためのデザイン」
キュレーター:キム・サンギュ(김상규)

会期は11月4日まで。
Mediacity Seoulの会場からも地下鉄で1駅なので、ぜひはしごすることをお勧めします!

★基本情報★
展示期間:2012年9月13日(木)〜11月4日(日) ※毎週月曜、秋夕(9/30)休館
観覧時間:午前10時〜午後7時(入場は午後6時まで)
入場料:無料

主催:韓国文化体育観光部
主管:韓国工芸・デザイン文化振興院

その他、さまざまな関連イベントも期間中行われているので、詳しくはHPで。(韓国語のみ)

2012/09/08

光州ビエンナーレ開幕! 祝★下道基行さん新人賞受賞

昨日9月7日、光州ビエンナーレ2012開幕しました。
(しつこいけど、光州ビエンナーレについてはNextの「制作手帖」コラムにも書いたので、ぜひ読んでみてくださいね~。)
(C) Gwangju Biennale2012

さて開幕に先駆けて9月6日の夜、
今回のビエンナーレの参加作品の中から受賞作品が発表されました。
本当は光州ビエンナーレの公式サイトからリンクを引っ張ってきたかったのですが、
なぜか公式サイトには英語ページにも韓国ページにも今回のアワードについてのニュースが
アップデートされていない模様…。

韓国のインターネットニュースサイトではいくつか記事になっていますので、
気になる方は「2012광주비엔날레」(2012光州ビエンナーレ)、「눈 예술상」(NOON芸術賞」でググって、あとはグーグル先生に翻訳していただければ韓国語できなくてもきっと見つかるはず!

さて、今回の受賞作家(作品)

NOON芸術賞
ムン・ギョンウォン(문경원)、チョン·ジュンホ(전준호)/韓国
「EL FIN DEL MUNDO」(2012)

新人賞
下道基行/日本
「torii」(2006-2012)、「bridge」(2011)

栄誉賞
アブラハム・クルズヴィレガス(Abraham Cruzvillegas)/メキシコ
「アトリエ自動建築:非効率的 思索家のワークショップ:映画館の裏の無料相談所」
(Atelier Autoconstruccion : The Inefficient Tinkerer's Workshop: Free Advice Behind Cinema)

インターネットニュースからの抜粋★
「EL FIN DEL MUNDO」は、俳優イ·ジョンジェとイム·スジョンが出演する作品で、急激な気候変動により変わってしまった未来の環境下で生き残った生存者に関するストーリー。
作品は100年後の世界の姿を想像し、その姿を通じて現在を反省して問い直す。
マッシミリアーノ・ジオーニ(2010光州ビエンナーレ総監督、2013ベニスビエンナーレ総監督)をはじめとする5人の審査委員らは「『EL FIN DEL MUNDO』で作家たちは我々の時代の不思議な作品を創造しながら、同時に混乱しつつ魅惑的な未来的宇宙を構築する」と評した。

新人賞は「torii」、「bridge」を創作した下道基行に与えられた。
「bridge」の連作は、昨年3月に日本で起きた大地震をきっかけに
作家が直接日本全国を旅しながら発見した286個の小さな橋を連続して写真で提示する。
道端の灌漑用水路の上に小さな板を置いて作られた橋は、便宜のために2ヶ所を結ぶ、匿名の住民が大切に保管した​​素朴な夢と欲望の記録である。

今回の審査で、審査委員たちは「栄誉賞」を授賞することに決定した。
栄誉賞は光州映画館の社宅で「アトリエ自動建築:非効率的 思索家のワークショップ:映画館の裏の無料相談所」という作業を進行したアブラハム・クルズヴィレガスが選ばれた。

今回の光州ビエンナーレ2012「NOON芸術賞」の審査はマッシミリアーノ・ジオーニ、インスタレーション美術家チェ・ジョンファ(최정화) 、ニューヨークグッゲンハイム美術館のチーフキュレーターアレクサンドラ·モンロー(Arexandra Munroe)、フランスボザール大学のディーパック・アナンス(Deepak Ananth、北京の中央美術学院のワン・フォアンセンが担当した。

NOON芸術賞は、光州ビエンナーレの創立精神・志向価値と向き合いながら、テーマに合致し、創意的で実験精神が優れた作品を出品した作家に贈られる賞である。

(光南日報 9月6日インターネット版より抜粋)

2012/09/06

Mediacity Seoul 2012 まもなく開幕

9月1日にアップされたNext「制作手帖」のコラムに、
まもなく9月7日から開催される「光州ビエンナーレ2012」についてちらりと書いたのですが、
実はほぼ同じ時期に「釜山ビエンナーレ」と「Mediacity Seoul」(や、その他いろいろ…)も開幕となります。

今回はMediacity Seoulについて少しごく簡単にご紹介。


Mediacity Seoul は、ソウル市が主催する国際的なメディアアートのビエンナーレで
2000年に「Mediacity」という名前で創立され、今年で7回目を迎えます。
このビエンナーレの目的は、同時代の芸術を中心に、科学、人文科学、現代テクノロジーなどをベースに製作されたニューメディアアートの作品を紹介し、展示すること。

2012年9月11日から11月4日まで​​開催される
第7回Mediacity Seoulのテーマは 「Spell on You(君に呪文をかける)」。

このタイトルは、アメリカのブルース歌手スクリーミン・ジェイ・ホーキンス(Screamin 'Jay Hawkins)が50年代に発表した「I put a spell on you」から引用されており、
「Spell(呪文)」は、超越的な力を得ることができるテクノロジーの使用と、人間が自分を絶えず表現したいという欲求などが結合し、個人と個人、個人と集団、集団と集団の間に作用する力の関係を意味します。
今日、SNS、マスコミュニケーション、娯楽産業などを通じた社会的コミュニケーションでも
 「Spell」に基づく力の関係が表れており、今回のビエンナーレでは、これらの社会現象をメディアアート展示として興味深く提示します。

今回のアーティスティックディレクターは、韓国国内のコンテンポラリーアート、ニューメディアアートの分野で評論や展示企画をしてきたユ・ジンサン(유진상)氏が務め、彼と一緒に協働するキュレーターとして、日本ニューメディアアート分野のキュレーター四方 幸子氏、オランダのメディアアート・インスティチュートのディレクターであるオロフ・ファン・ウィンデン(Olof van Winden)氏、そして米国ゼロワンビエンナーレのキュレーターにも参加しているチェ・ドゥウン(최두은)が参加しています。

日本から参加するアーティストは(敬称略)
池田亮司、exonemo、菅野創+山口崇洋、クワクボリョウタ、dNA、真鍋大度+石橋素、三上晴子。

舞台芸術界隈でも知られた名前ですと、ロベール・ルパージュも「Robert Lepage, Sarah Kenderdine, Jeffrey Shaw」の3名での作品で参加するようです。

また、山口情報芸術センター(YCAM)の子供対象のワークショップも開催。

Mediacity Seoul 2012
開催日程:2012. 9. 11 ~ 2012. 11. 4
入場料金:無料
会場:ソウル市立美術館 (シンポジウムやワークショップは別会場)
110-813 Deoksugung-gil 61(Seosomun-dong 37), Jung-gu, Seoul
電話 : +82 70-4473-8858
Fax : +82 2 2124 8976
e-mail : info@mediacityseoul.kr
http://www.mediacityseoul.kr/

光州ビエンナーレ、釜山ビエンナーレとのはしごで、韓国縦断の秋はいかがですか~??

2012/09/02

Next 制作手帖コラム アップ


Next制作手帖 コラム「来なきゃ分からないことだらけ from ソウルVol.5」アップされました。

まもなく開催の「光州ビエンナーレ」、そして国家事業として進められている「アジア芸術中心都市」のことなど、今回はコラムのタイトルに反して(笑)光州にスポットを当てて書きました。

よろしくお願いします★