2013/03/19

世の中の98%くらいの人からは「それどういう仕事?」って聞かれる舞台芸術制作者という仕事。

とっても私事なのだけれど、昨年末に私の2つ違いの姉が入籍しました。
その数か月前に、姉から(今思えば、相手方の家族に私のことを紹介するためだと思われる。)
「あんたってどういう仕事してるって説明すればいいの?」
というメールが来たことがありました。

なにもつい最近この仕事を始めたという訳でもないのですが(汗)、「舞台芸術の制作」を詳しく説明するのが面倒くさくて、家族に細かくは説明せずにここまで来たんですよね・・・。
いや、なんとなくは説明はしてたんですけど。
「演劇とかダンスとかのコーディネートの仕事」って。

でも、きっと制作仲間ならば理解してもらえるんじゃないかと思うんですが、この「制作」の仕事を、この業界で働く人以外に説明するって本当に難しい。
「演劇やダンスの制作」っていっちゃうと、舞台美術作ってる人だと思われたり(まぁ、舞台の上にある制作するものって美術だもんね・・・)、舞台自体を作ってる人(=演出家・振付家)と思われたりしたこともあって、なるべく初めて会う舞台芸術業界以外の方には「制作」という単語を使わないようにしてるんです、私は。

それで「制作」のかわりに「コーディネーター」って言ってるんですけど、でもやっぱり「コーディネーター」も何をコーディネートするのか分からないから、「えっ、それってどういう仕事?」って聞き直されて、またそこから説明が始まるっていう、相手に仕事を理解してもらうまでの長い道のり。

「お仕事なにされてるんですか?」

「医者です。」
「教師です。」
「銀行員です。」
「アパレルの販売員です。」
「教材販売会社の営業です。」
「スポーツジムのインストラクターです。」

に比べて

「舞台芸術の制作です。」
の醸し出すもやっと感。



なるべく分かりやすくして「演劇やダンスのコーディネーター」にしてもやっぱりその一言で職業イメージが湧く人なんてほとんどいないわけですよ。
わたしは劇団四季の大道具作ってる人でも、宝塚の振り付けしてる人でもないですよ~!(実経験に基づく)

姉からのメールの件に戻ると、姉のメールに対して
当時私が連載させてもらっていたNext制作手帖のコラムのリンクを貼って「これ読んだら、だいたい分かるかと。」と送り返しておきました。
で、今更になってふと、姉と、姉の新しい家族の方々はひょっとして私のことを「演劇のコラムニスト」だと思ってやいないだろうかと、ふと、思ったのです・・・。
(ちゃんと説明しろっていう話なんですが…)

「ガラスの仮面」に制作者が描かれてたら世間の認識は違ったかもしれないのに!
(というのは八つ当たりで、あの漫画ははやく完結してください。)

世の中の制作さんたちは、自分の仕事のことを周囲になんて説明しているんでしょうか。
周りの人が「ああ、そうなのか!」ってスッキリ理解してくれる説明方法があったらぜひ教えていただきたいです。

あっ、いい機会なので、このブログを姉が読むかもしれないし、改めて「舞台芸術の制作」の仕事を簡単に書いておこうと思います。

★公演の枠組みをつくるよ!
いつ、どこで、だれが、どんな演目をやるのかが決まったら、キャスト・スタッフ・劇場・観客の間の橋渡し役としていろんなことを調整していくよ。関わる人たちが気持ちよく仕事ができるように、また、見に来る人たちにとってはより来場しやすいように、枠組みをつくっていくよ。

★お金を管理するよ!
チケット収入だけでは公演することが難しい場合には、助成金を申請したり、企業に協賛をお願いしたりするよ。

★チケットも管理するよ!
チケット価格・発売日などを決めてプレイガイドに配券して、公演当日まで枚数を管理していくよ。

★広報もするよ!
チラシやポスターを作ったり、DMを出したり、新聞・雑誌などに向けてプレスリリースを配信したりして、どうやったらより多くのお客さんに公演の情報を届けるかみんな試行錯誤しているよ。

★実際の公演会場でお客さんをお迎えするよ!
公演会場では、受付や案内係の配置を考えたり、開演の合図を出したり、遅れてきたお客さんをご案内したりするよ。

★公演が終わってもいろいろあるよ!
公演が終わっても、精算とか報告書作ったりとかがあるんだよ。

大きな公演になると、チケット管理や広報はそれぞれ別に担当がついたりするけど、小さな劇場のものだと全部制作がやることが多いよ。
ざっくり書いたけど、それぞれもっと細かいいろんなことがあるんだよ~。
公演の打ち上げの会計も制作の仕事だったりするから、公演終わっても酔っぱらえないよ!

ざーーーーっくり言うとこんな仕事だよ。

きっとこれで私の家族もようやく私の仕事のことをイメージできるようになったのではないかと!
もし私と同じように、自分の仕事を説明するのが面倒くさいと思っている人がいたら、これコピペし、良きようにアレンジして使ってください(笑)

サムネイルの画像がないと寂しいので、意味もなくF/T時代の私のデスクの写真を貼ってみる。